【書評・要約】『お金の大学』──「守る力」で、手元に残るお金を最大化する

「思ったより貯金が増えない…」
「収入はそこそこあるのに、なぜかお金が残らない」
そんな悩みに答えてくれるのが、両@リベ大学長の『お金の大学』。“お金を増やす前に、まずは漏れを防ぐ”という視点を与えてくれる一冊です。
「お金のことで寝つきが悪かったり、将来に不安を感じたこと、ありませんか?」
『お金の大学』は、そんなあなたの“お金へのモヤモヤ”をスッと晴らしてくれる一冊です。
✔ 「貯める」「増やす」「稼ぐ」「守る」「使う」の5つの力で、お金のことを丸ごと学べる
✔ 最新の制度・金融の実情に対応した改訂版で、古い情報に振り回されない知識が手に入る
✔ 難しいことを簡単に、行動できる形で教えてくれるので、初心者でも始めやすい
✔ 内容はすぐ実践できるテクニック満載。固定費を見直すだけでも、本の元がとれる可能性あり
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まずは“目次だけをパラパラめくる”くらいの軽さでいいかもしれません。それで、あなたのお金の使い方が少しずつ変わっていく。
両@リベ大学長のベストセラー『お金の大学』は、まさにその“当たり前に見えて誰も教えてくれなかった”ことを教えてくれる本。
「次は増やす力を高めよう」
これが、人生の選択肢を広げる次の一歩になると、丁寧に解説してくれます。
「守る力」とは?
「守る力」とは、入ってきたお金をしっかり手元に残す力。
ムダな支出や不必要な手数料に気づき、生活コストを最適化することで、収入が増えなくても自由度は確実に上がります。
『お金の大学』で学べる「守る力」の実践法
1. 固定費の見直しで“自動的にお金が残る”仕組みを作る
固定費は一度見直せば、努力なしで継続的に節約効果が出るのが特徴です。
- スマホ代の削減
大手キャリアから格安SIM(楽天モバイル、ahamo、povoなど)へ切り替えるだけで、月数千円の節約が可能。年間で数万円が浮く。 - 保険の見直し
不要な民間保険(高額な終身保険や学資保険)を解約し、必要最低限の「掛け捨ての生命保険・医療保険」に絞る。保険は「確率と金額が大きいリスク」に備えるのが基本。 - 住宅ローンの借り換え
低金利の時代に高金利のローンを組んでいると数百万単位で損をする可能性あり。借り換えや繰上げ返済を検討する。 - 光熱費の切替え
電力・ガス自由化によって、地域や契約内容を変えるだけで毎月のコストダウンが可能。
2. 税金・社会保険料の最適化で“知らない損”をなくす
収入が増えなくても、制度を理解すれば払うべきでないお金を減らせます。
- ふるさと納税
実質2,000円の負担で返礼品を受け取りつつ、住民税を控除。制度を使わないと「損している」のと同じ。 - iDeCo(個人型確定拠出年金)
掛金が全額所得控除になるため、所得税・住民税が軽減される。老後資金の準備と節税を同時に実現。 - 医療費控除・高額療養費制度
医療費が一定額を超えた場合は確定申告で税金が戻る。高額療養費制度を利用すれば、医療費の自己負担額も抑えられる。 - 配偶者控除・扶養控除
家族の所得や働き方によって控除が受けられるため、世帯全体で最適化を考える。
3. 詐欺やムダな支出から自分を守るリテラシー
「守る力」は、不要な支出や悪質ビジネスから逃れるための知恵でもあります。
- 詐欺・情報商材対策
「必ず儲かる」「誰でも簡単」などの言葉に注意。正しい金融リテラシーを持っていれば、怪しい投資話に引っかかりにくくなる。 - 高額な保険・投資信託の手数料
銀行や保険会社が勧めてくる商品は、販売者側が儲かる仕組みになっている場合が多い。インデックス投資など、低コストの商品を選ぶのが基本。 - サブスク・無意識の浪費
動画配信サービス、アプリ、ジムなど「使っていないのに払っている」契約は固定費の落とし穴。定期的に洗い出して整理する。

「守る力」は最初に鍛えるべきお金の筋肉
- 一度の見直しで毎月自動的に節約が続く「固定費カット」
- 制度を正しく活用して「税金・社会保険料を減らす」
- 情報リテラシーで「詐欺・ムダな支出から身を守る」
この3つを徹底することで、稼いだお金をしっかり残せるようになります。
つまり「稼ぐ力」で増やした収入も、「守る力」がなければ穴の空いたバケツに水を注ぐのと同じ。
なぜ「守る力」が今必要なのか?
1) 物価は落ち着きつつも高止まり、実質賃金は回復途上
2025年8月の全国CPI(総合)は前年比+2.7%。直近の伸びは鈍化しつつも、依然として家計目線では「値上げが続く」環境です。一方、実質賃金は2025年7月にようやく前年比プラスへ転じたものの、直前まで6か月連続マイナス。名目賃金の伸びがあっても“値上げ”に追いつかない局面が長く続きました。だからこそ、同じ収入でもムダを削って手取りを増やす「守り」が効きます。
2) 税・社会保険の「構造的な重さ」
国全体の税負担と社会保険負担の合計を示す「国民負担率」は、2025年度見通しで46.2%。制度的な要因も絡むため個人の努力だけでは軽くできません。だからこそ、控除や制度活用(例:医療費控除、扶養、各種控除)の“最適化”で、合法的に手取りを守ることが重要です。
3) 長寿化・高齢化で「現役期の自己防衛」がより重要に
65歳以上の比率は29.3%(2024年10月1日現在)。今後も高齢化が進む見通しで、医療・介護・生活費の自己負担や就労期間の延伸が現実解です。「守る力」で生活コストの基礎代謝を下げておくことが、長いマラソンを走り切るスタミナになります。
4) 決済の“自動化”で気づかぬ浪費が増えやすい
2024年のキャッシュレス比率は42.8%。便利になるほど、自動更新のサブスクや少額決済の積み上がりに気づきにくい副作用も。定期的な明細チェック・契約棚卸しが、もはや家計運営の「定期メンテ」です。
5) 金利環境の転換点=ローンと預金を“見直す余地”
日銀は2024年3月にマイナス金利を解除し、YCCも撤廃。「金利のある世界」に戻りました。これにより、変動型ローンやカードローンの金利動向、住宅ローンの借り換え可否、預金・債券の利回りなど、見直しの打ち手が増えています。環境変化に合わせて“守りの再設計”が必要です。
6) 詐欺の巧妙化・多様化(特殊詐欺+SNS型投資詐欺)
2024年の「特殊詐欺」被害額は約7,176億円と前年比約6割増。さらに「SNS型投資詐欺」は認知件数6,413件、被害額871億円と前年から急増。リターンよりもまず“資産流出を防ぐ”ための情報リテラシーと防御策が不可欠です。
『お金の大学』の「守る力」が刺さるのはこんな人
1) 「貯金がなぜか増えない…」と悩む人
- 給料はあるのに、毎月ほとんど残らない
- ボーナス頼みの家計運営になっている
- 家計簿をつけても、どこで浪費しているのか分からない
👉 固定費の削減やサブスク見直しで、“無意識に消えているお金”をあぶり出せる。
2) 保険・ローン・通信費を「見直したことがない」人
- 勧められるまま高い保険に加入している
- 住宅ローンを組んだまま金利を気にしていない
- 大手キャリアで長年契約していて、月1万円以上スマホ代に払っている
👉 これらは一度の見直しで年間数十万円単位の差がつく。
“がんばる節約”ではなく“仕組みで守る”のがポイント。
3) 税金や社会保険がよく分からず「取られっぱなし」な人
- 年末調整をよく理解せず会社任せにしている
- ふるさと納税をやっていない
- 医療費控除・扶養控除を知らないまま申告していない
👉 「知らない」ことはそのまま損に直結。制度を使う=守る力を発揮すること。
4) キャッシュレス・サブスクで「便利さの裏で浪費しがち」な人
- ついタッチ決済でお金を使いすぎる
- 動画配信・音楽・アプリなど、使っていないサブスクを契約し続けている
- クレカの明細をほとんど確認していない
👉 便利さが浪費に直結する時代だからこそ、定期的に点検できる習慣が必要。
5) 詐欺・悪質ビジネスに不安を感じる人
- SNSやLINEで「投資で儲かる話」に誘われたことがある
- 銀行や保険会社に勧められるまま商品を買ってしまう
- 「自分は大丈夫」と思いつつも周囲の被害を見て不安
👉 金融リテラシーが低いと**「攻める」前に「奪われる」リスク**が高い。守る力は最初の防御壁。
6) 定年・リタイアを意識し始めた人
- 年金だけで暮らすのは不安
- 老後資金をどう準備するか悩んでいる
- 高齢になってから「守る」行動を始めるのは遅いと感じている
👉 現役時代から生活コストを下げておけば、老後資金の必要額が減り、安心感が増す。

「守る力」が必要なのは、実はお金に悩むすべての人。
特に──
- 「稼ぎ」よりも先に“手元に残らない”と感じている人
- 見直しや知識不足で損をしている可能性がある人
- 老後・不測の事態に備えたい人
に強烈に役立ちます。
『お金の大学』における「守る力」まとめ
実践法のポイント
- 固定費の見直し:スマホ代・保険・住宅ローン・光熱費を下げて“自動的に貯まる”仕組みをつくる
- 税金・社会保険の最適化:ふるさと納税、iDeCo、控除制度を理解し“知らぬ損”をなくす
- 詐欺・浪費から守る:投資詐欺や高額商材に注意し、サブスクやキャッシュレスの“無意識の出費”を管理する
今なぜ必要か
- 物価高と実質賃金の停滞で、収入がそのまま減ったように感じる時代
- 税・社会保険負担が増大し、制度を知らないと確実に損をする
- キャッシュレス化や詐欺の巧妙化で、気づかぬうちにお金が流出しやすい
- 長寿化・高齢化社会では「長く守り続ける力」が生涯を支える
特におすすめな人
- 「なぜかお金が貯まらない」と悩む人
- 保険・ローン・通信費を見直したことがない人
- 税金や社会保険を“よく分からず任せっきり”な人
- サブスク・キャッシュレスで浪費しやすい人
- 投資詐欺や金融商品の勧誘に不安がある人
- 老後資金や定年後の生活に漠然とした不安を抱えている人
はじめの一歩は、固定費をひとつ見直してみることかもしれません。
あるいは、ふるさと納税に挑戦してみる、クレカ明細をチェックしてみる──どんな小さなことでも、“守る”行動が未来を変えていきます。
今あるお金をしっかり守ることが、安心と自由を生み出す力になる。
その最初のヒントが、『お金の大学』には詰まっています。




